かののん’s diary

振り返ったときに等身大の自己紹介になるようなブログにしたいです。

おらおらでひとりいぐも

 

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芥川賞受賞 若竹ちさこさんの「おらおらでひとりいぐも」

Amazon primeに入ったので配信で観てみました。
本で読み、ものすごく変わった切り口に斬新さを感じていました。
もしかしてストーリーは主人公桃子さんの内省のみで書かれていたかしら?
人の頭の中の「内省」を映画にするとどうなるのだろう?という興味を持って観ました。

かつては「新しい女」だったはずの75才の桃子さん。
夫が好きで結婚生活が楽しくて、その幸せに終わりが来るなんて思いも及ばなかった桃子さん(涙)

突然夫を亡くし、結婚生活だけに人生の軸足を置く古い女になってしまっていたのではないか?と思いを巡らせながら生きている桃子さん。
夫がいなくなったことは、本当はそうで在りたかったけれど忘れてしまっていた「新しい女」「自立した女」を自分に思い出させたのではないか、と意味を見出している桃子さん。

桃子さんは、今も利発で図書館に通い、オレオレ詐欺もかわし、人々ともほどほどの距離感をコントロール、自分の頭で判断し、そういう意味でしっかり自立していて、素晴らしいです。
一方、自分の身の回りの設備や生活様式を新しくしていくことにいそしまないと「寂しさ」達とにぎやかに暮らすことになると、身につまされました。

テレビと固定電話FAXで、ネットを使わないとこうなるのかと。
子供達で寂しさは埋められないし、来てもお金をせびるだけなら疎遠で結構、とも思えました。

老人になる前にネットで人とつながれる時代が来ていてよかった!

内省から言語化する、アウトプットした言葉をネットに乗せて人と言葉を交わす、SNS社交慣れをしておく、ネット社会で成熟しておくことの価値がとてもよくわかった一作でした。