かののん’s diary

振り返ったときに等身大の自己紹介になるようなブログにしたいです。

日本の税金/三木義一 岩波新書

日本の税金/三木義一 岩波新書

 

今年に入って立て続けに税金関係のお仕事をさせていただいています。その関連で上記の本を読んでみました。

 

日常生活では、そして生まれてから死ぬまで、私達はたくさんの税と接し、税の恩恵に浴しています。ある人には関係のない税も、別の人には関係のある税もあります。本書はそれらを広く一つ一つ取り上げ、意味や性格にとどまらず、成り立ちや変遷等も説明してくれています。

 

私は税は、大雑把に「富の再分配」と捉えてきました。けれども読み進めるにつれ税の意味、例えば「目的税」とか「負担金的税」など、税もそれぞれ性格を帯びていることがわかりました。

そして、個々の税にも、人ひとりひとりの人生のように「変遷」があり、そのヒストリーを紹介してくれていたので、興味深く読み進めることができました。

 

ある税が、社会情勢や時代に応じて「適正」であろうとして、調整や特例を設定し、それが積み重なってとても複雑になってしまい、課税する側も納税する側も理解するには相当な専門性が必要になってしまったり、、そういうもつれた糸のようになってしまった仕組みはこれからどういう方向へ向かうのだろう?(それぞれに利害関係があるから何か大きなクラッシュがないとどこへも向かえない気はします。。)

 

ある税は新しく生まれたり、ある税は終わったり、ある税は終わるはずが続いたり、それもこれも社会情勢や時代の中で、、というのを読んでいると世界史が思い出され、ある国が勃興したり、滅んだり、持ちこたえたり、、というのを想起している読書タイムもありました笑

 

現代、税に関して悩ましいのは、グローバルボーダレス社会になり、適正な税制を一国一国の領域で考えていると、担税力のある層(企業)が国外に出てしまい、豊かになりたい国に呼び込まれ、ひいてはそれが国毎の税金分取り合戦、或いは税率引き下げ合戦になってしまい、大多数の疲弊につながるということです。

 

透明性の高いシンプルな仕組みがいいなぁ、と思う一方、そう簡単にはいきづらいよね、、複雑な時代を反映しているなぁ、と思ったり、そして最近クローズアップされてきた概念、ネガティブケイパビリティを実感できたりしました。

 

いずれにしても私たちはダイナミックな動きの中にいて何事も、そしてもちろん法律も、アップデートは欠かせないと思いました。

それからなんだか、税金の本を読んだのに、頭の中はとても広い世界を駆け巡ったような読後感で、そこは意外でした!